強すぎるかゆみは、生活の質を大きく低下させます。特にかゆみが肛門に起こった場合、気軽に掻くことができません。

そのため肛門のかゆみは解消されにくく、イライラして仕事や勉強などが手につかなくなりやすいです。場合によっては、かゆみで眠れないこともあるでしょう。そのため肛門にかゆみが起こったら、なんとかしてかゆみを鎮めたいと思うはずです。

ただかゆみは、対処法を間違えると悪化しやすくなります。そのため肛門がかゆいのであれば、正しい対処法を知っておくことが大切です。

では、肛門のかゆみはどのような原因で起こるのでしょうか? また肛門にかゆみが起こったら、どのように対処したらいいのでしょうか?

ここでは、肛門にかゆみが起こる理由とその対処法について解説していきます。

なぜ肛門にかゆみが起こるのか?

「肛門がかゆい」という症状は、その原因にかかわらず肛門掻痒症(こうもんそうようしょう)と呼ばれます。

肛門掻痒症は痔や皮膚炎などの病気によって起こることもあれば、生活習慣によって起こることもあります。そのため肛門のかゆみを改善するためには、かゆみの原因を特定することが大切です。

「痔=痛い」とは限らない

一般的に、痔は痛いものであると思われています。実際に痔が起こると、肛門に強い痛みが起こることが多いです。そのため肛門が痛いと、痔を疑う人が多いです。

一方で痔に対して「肛門がかゆくなる病気である」というイメージを抱いている人は少ないです。そのため肛門がかゆくても、自分が痔であると自覚する人はあまりいません。

ただ手足などにできた傷が治りかけたとき、強いかゆみを感じたことがあるでしょう。これと同様に肛門の裂け傷である切れ痔(裂肛)では、傷が浅いときや治りかけのときなどに強いかゆみが起こりやすいです。また同じ理由で、痔の手術後の傷が治りかけている場合も強いかゆみが起こります。

またいぼ痔の一種である内痔核は、いぼ痔そのものに痛覚がありません。そのため内痔核ができた段階では、痛みやかゆみなどが起こりません。

ただ内痔核が進行して大きくなると、肛門から脱出するようになります(脱肛)。すると、イボ部分が肛門組織に擦れる刺激によってかゆみが起こることがあります。

以下は内痔核の進行度の図です。

また脱肛が起こると、腸で分泌された粘液が外に漏れ出やすくなります。このような粘液は、皮膚に刺激を与えます。そのため脱肛によって粘液が肛門外に漏れ出るようになると、肛門にかゆみが起こりやすくなります。

さらにあな痔(痔ろう)を発症すると、肛門やおしりの皮膚などから汁(膿)が排出されるようになります。粘液と同様に膿も、皮膚には刺激となります。そのため、あな痔による膿が肛門周辺に付着すると、皮膚が荒れてかゆみが起こりやすくなります。

このように、肛門のかゆみは痔が原因で起こることがあります。そのため肛門がかゆいと感じたら、他にも痔の症状が出ていないかどうかを確かめることが大切です。

例えば内痔核が脱肛するようになると、肛門周辺にぷにぷにとした出来物を確認できるようになります。初期の内痔核では、便器の中が真っ赤になるほどの出血が起こることもあります。

また切れ痔では、排便時にピリピリまたはビリビリとした鋭い痛みが起こります。切れ痔による出血は、トイレットペーパーに血液が付着する程度となることが多いです。

前述のように、あな痔ではおしりの皮膚や肛門などから膿の排出が起こります。そのためトイレットペーパーや下着などに黄色っぽいものが付着している場合は、あな痔を疑いましょう。

生活習慣によってかゆみが起こることがある

肛門は便の通り道です。そのため肛門には、便に含まれている見えない汚れが付着していることがあります。

このような汚れは、皮膚に刺激となります。そのため肛門が汚れたままになっていると、かゆみが起こりやすいです。

ただ、肛門をきれいにしすぎてもかゆみは起こります。

いまの日本のトイレでは、温水洗浄便座(ウォシュレット)が普及しています。そのため排便後の肛門を、温水で洗い流す人はかなり多いです。

このときウォシュレットの使用方法が適切であれば、肛門が清潔になってかゆみが起こりにくい状態となります。

一方でウォシュレットの使用時間が長かったり水圧が強すぎたりすると、肛門皮膚の皮脂が過剰に洗い流されます。

皮脂には皮膚を守る働きがあります。

この図のようにウォシュレットによって皮脂が洗い流されて皮膚の表面がスカスカになると、異物や刺激などが皮膚の内側に伝わりやすい状態となります。その結果、かゆみが起こりやすくなるのです。

これと同様に、石鹸などで肛門を洗いすぎたりトイレットペーパーで何度も拭いたりすると、皮膚のバリア機能が低下してかゆみが起こりやすくなります。そのため肛門のかゆみを防ぐためには、肛門をきれいにしすぎないように注意する必要があります。

痔以外の病気による症状

なお、肛門のかゆみは必ずしも痔が関わるものとは限りません。以下のような原因も考えられます。

・下痢による皮膚炎

健康的な便は、腸から分泌された粘液に包まれています。そのため皮膚と直接触れにくく、かゆみの原因とはなりにくいです。

一方で下痢が起こっていると、便が水っぽくなって粘液に包まれなくなります。そうすると、便に含まれる汚れが皮膚と触れやすくなります。

前述のように便に含まれる汚れが肛門や皮膚などに付着すると、かゆみが起こりやすくなります。したがって肛門のかゆみに下痢が伴っているようであれば、まずは下痢を解消することが大切です。

具体的には下痢の原因が水や食べ物、お酒などである場合は、原因となっている飲食物を口にしないように気を付ける必要があります。

またノロウイルスなどの感染症によって下痢が起こっている場合は、十分な水分・栄養を摂って病気の治癒を待ちます。その後、病気が治ったら患部に塗り薬を使用して炎症を鎮めます。

ストレスなどによって下痢が起こりやすいタイプの人は、腹痛を感じたらすぐに服用できるように下痢止めを持ち歩くようにしましょう。この場合の下痢止めは、腸の働きを抑制する効果の高いロートエキスやロペラミドなどが配合されているものを選びましょう。

また水なしで服用できるものを選ぶと、外出先で腹痛が起こったときにも対処しやすくなります。

・女性の場合は生理が原因となることも

生理がある女性は、毎月経血の排出が起こります。経血は肌に刺激を与える要因になります。そのため生理中は、外陰部にかゆみが起こりやすいです。

このときかゆみが起こりやすいのは、膣のまわりだけではありません。肛門にかゆみが起こることもあります。

膣から流れ出た経血は、肌を伝って肛門に付着しやすいです。また生理用ナプキンを使用すると、下着の中が蒸れやすくなります。肌が蒸れると、その分だけ刺激に弱くなります。そのため生理中は、肛門にもかゆみが起こることが多いのです。

生理中の肛門のかゆみは、下着内のムレを防いで外陰部を清潔に保つことで防ぐことができます。そのため生理中に肛門がかゆくなった場合は、生理用ナプキンをこまめに取り替えたりトイレの際にウォシュレット機能で外陰部を洗ったりするように心がけましょう。

肛門に使えるかゆみ止めの市販薬とは

多くの人が経験しているように、かゆいところを掻くと「気持ちいい」という感覚が起こります。一方で、痒みを我慢することはつらく感じるはずです。

かゆみはもともと、皮膚に付着した異物を取り除くための防衛本能です。

例えば毒を持つ虫などが皮膚に付着した場合、すぐに取り除かなければ皮膚がかぶれてしまいます。かゆみは、このような事態を防ぐためのサインなのです。そのため、かゆみを我慢することには精神的なストレスを伴います。

ただかゆいところを掻きすぎると、皮膚の表面が壊れてバリア機能が低下します。そうすると、さらにかゆみが起こりやすい状態となります。つまり、かゆみの悪循環が生まれるのです。そのため肛門にかゆみが起こったら、薬を使用して速やかに鎮めることが大切です。

かゆみの原因が痔である場合

前述した3種類の痔のうち、あな痔は手術なしには治りません。そのため膿の排出などのあな痔の症状が出ているのであれば、病院を受診する必要があります。

一方でかゆみの原因がいぼ痔や切れ痔などである場合、薬を使用することで症状を抑えることができます。

例えば痔の薬として有名なボラギノールAには、炎症を抑える効果の高いステロイド成分や局所麻酔成分などが配合されています。

画像の成分のうち、プレドニゾロン酢酸エステルがステロイド成分、リドカインが局所麻酔成分です。そのためボラギノールAを痔の患部に使用すると、かゆみなどの症状が鎮まりやすくなります。

またかゆみの原因がいぼ痔・切れ痔である場合、飲み薬の服用によって症状を緩和させることもできます。

例えば痔の飲み薬である乙字湯(おつじとう)には、炎症を抑える働きのある生薬が多数含まれています。そのため乙字湯を服用すると、数日で痔のかゆみが軽減していきます。

また乙字湯には、便秘を改善する生薬や血行を良くする生薬なども配合されています。便秘や血行不良などは、痔の原因となります。そのため乙字湯を服用すると、かゆみの原因である痔を根本から治すことができます。

なお痔の手術後のかゆみも、ボラギノールなどで対処することができます。そのため術後の傷が治りかけてかゆい場合は、痔の塗り薬を使用しましょう。

かゆみの原因が皮膚の感染症である場合

なお、肛門のかゆみは真菌(カビ)などの感染症が原因で生じていることもあります。

肛門のかゆみが感染症によって起こっている場合、ボラギノールAなどの痔の薬を使用してはいけません。これは痔の塗り薬に含まれるステロイドには、免疫力を低下させる働きがあるためです。

免疫力が低下するということは、細菌などに対する抵抗力が低くなるということを意味します。つまり、感染症が悪化しやすくなるのです。

一方で、外用薬の中には抗菌剤とステロイドが配合されているものがあります。このようなタイプの薬は抗菌成分が細菌の増殖を抑えるため、細菌感染による皮膚炎に使用することができます。

そのため肛門やその周りなどが赤くなっていたり、水疱・膿疱が生じていたりする場合は、抗菌剤が配合されている塗り薬を使用します。

抗菌剤が配合されている塗り薬には、「化膿に効く」との表記があります。そのため感染症による皮膚炎が起こっている場合は、このような表記のある塗り薬を選びましょう。また医療用医薬品(病院から処方された薬)では、ゲンタシンなどが使用できます。

また肛門のかゆみが白癬菌やカンジダなどの真菌(カビ菌)である場合、抗真菌成分が配合されている薬を使用する必要があります。そのため肛門周辺にかゆみや赤く盛り上がるなどの症状が出た場合は、いんきんたむし用の薬を使用しましょう。

かゆみの原因が特定できない場合

かゆみの原因がどうしてもわからないような場合は、ステロイドが配合されていない薬を使用します。感染症によるかゆみを悪化させないためです。

例えばボラギノールAや病院から処方されたリンデロンなどはステロイドが配合されているため、原因不明のかゆみに使用しないように注意します。

一方でデリケートゾーン用の塗り薬であるフェミニーナ軟膏などには、さまざまな種類のかゆみ止め成分が配合されている一方でステロイド成分が含まれていません。

また痔の塗り薬の中には、ボラギノールMなどのノンステロイドタイプもあります。

そのため肛門のかゆみの原因が特定できない場合は、このようなステロイドが配合されていない塗り薬を使用しましょう。また病院から処方されたアズノール軟膏が手元にある場合は、これを使用しても問題ありません。

かゆみが酷く日常生活に支障をきたしている場合は、かゆみ止めの飲み薬を服用するという手段もあります。例えばレスタミンコーワ錠やアレルギール錠などには、アレルギー性によるかゆみを身体の内側から抑える作用があります。

ただこれらの薬はどれも、眠気の副作用を伴います。また薬の作用は、かゆみを一時的に抑えるだけです。そのため、かゆみの原因が解消されなければ、薬の効果が切れた頃に再びかゆみが起こります。

したがってかゆみ止めの飲み薬は、かゆみで寝付けないときなどには有効であるものの、かゆみの根本的な解決にはならないことを自覚しておきましょう。

なおワセリンやオロナイン軟膏などには、かゆみ止め成分が配合されていません。そのため、これらを使用しても症状は緩和しないので注意しましょう。

肛門がかゆいときの対処法

これまでに述べたように、肛門がかゆくなるのには原因があります。かゆみの原因が解消されなければ、かゆみがなくなることはありません。そのため肛門にかゆみが起こっている場合は、かゆみの原因を突き止めて適切な薬を使用することが大切です。

ただ場合によっては、すぐには薬を使用できないことがあります。このような場合は、我慢できずに患部を掻きむしってしまいやすいです。

ただ前述のように患部を掻きむしると、皮膚が荒れてかゆみが悪化しやすくなります。そのため薬を使えない状況に陥ったときのために、薬を使わずにかゆみを緩和する方法を知っておくことが大切です。

かゆい部分を冷やす

体が温まると、かゆみが悪化しやすくなります。一方で、冷やすとかゆみが緩和しやすくなることがわかっています。これは「冷たい」と感じる神経が、かゆみを伝える神経を抑制するためです。そのためかゆみが気になるときは、患部を冷やすことが大切です。

例えば凍らせた保冷剤を下着の中に入れておくと、肛門のかゆみを感じにくくなります。このとき、保冷剤を直接肌に当てると凍傷が起こってかゆみ・痛みが起こることになります。そのため保冷剤は、ハンカチなどで包んでから使用するように注意しましょう。

また熱中症対策に使用される商品には、氷を作るスプレーなどがあります。これをハンカチなどに使用してから肛門に当てるようにすると、手軽に肛門を冷やすことができます。

保湿する

皮膚が乾燥すると、刺激に弱くなってかゆみが起こりやすい状態となります。そのためかゆみが起こっている部分は、十分に保湿することが大切です。

例えば患部をワセリンなどの油脂成分で覆うと、肌への刺激が起こりにくくなってかゆみが軽減します。

また患部を保湿すると、肌のバリア機能が回復しやすくなります。そうすると、刺激に強くかゆみの起こりにくい肌となります。そのためかゆみが起こっている患部は、乾燥対策を実施することが大切です。

特に肛門を洗った後は、皮脂が失われて乾燥しやすくなっています。そのためトイレや入浴などの後には、必ずワセリンなどで肛門を保湿するように心がけましょう。

なお、かゆみ止めの軟膏を患部に塗る場合は、保湿剤を重ね塗りする必要はありません。軟膏にはワセリンなどの保湿効果のある基剤が使用されているためです。

一方でスプレーやジェルなどのサラッとした使い心地のものは、保湿効果が低いです。そのためこのタイプの塗り薬を使う場合は、患部を保湿するようにしましょう。

また薬を塗ってから保湿剤を肌に広げると、かゆくないところにまで薬が広がってしまいます。そのため薬と保湿剤を併用する場合は、保湿剤から塗るようにしましょう。

まとめ

肛門のかゆみは、さまざまな原因によって起こります。例えば一般的に痔は、痛みが起こる病気であると思われています。ただ実際には、痔によってかゆみが起こることはかなり多いです。

かゆみは患部を冷やしたり保湿したりすることで緩和します。ただこれらの手段は、かゆみを一時的に鎮めるだけです。

また肛門のかゆみに使用できる薬は、かゆみの原因によって異なります。そのため肛門がかゆいと感じたら、まずは原因を突き止めることが大切です。

そしてかゆみの原因が特定できたら、これまでに述べたような情報を参考にして適切な薬を使用しましょう。そうすることでかゆみを根本から治すことができ、肛門のかゆみに悩まされる日々から開放されるようになります。


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