痔の症状を初体験したとき、それが痔によるものであると認識できる人は少ないです。

実際に初めて痔を発症した人の多くは、「これは痔なのだろうか」という疑問を持つといいます。

特に痔の一種であるいぼ痔は、イメージとは異なる症状を生じます。そのため、いぼ痔を実際に発症している人の中には、いぼ痔であることを自覚せずに放置しているケースがあります。

例えば、肛門付近にぷにぷにとしたできものを生じている場合、多くの人が「ニキビのようなものである」と認識します。これは、「いぼ痔とは硬いできものができる病気である」と思い込んでいる人が多いためです。

ただ、肛門付近のできものに痛みを伴っているのであれば、外痔核といういぼ痔を発症している可能性が高いです。

そこで、ここでは外痔核の症状や発症原因、治療方法などについて解説していきます。

外痔核とは何か?

いぼ痔は、正確には痔核といいます。

肛門の中や肛門付近などには、便の漏れを防ぐパッキンのような組織があります。この組織を肛門クッションといいます。

肛門クッションはもともと、血液が入り込みやすい構造になっています。そのため、排便時や出産時などに強くいきむと、肛門クッションに多くの血液が流れ込みすぎることによって腫れ上がることがあります。これが痔核です。

肛門クッションは、肛門の内側と外側の2箇所にあります。これらのうち、肛門内側のクッションが腫れたものを内痔核と呼びます。

そして、外側のクッションが腫れる痔核を、「外側の痔核=外痔核(がいじかく)」と呼びます。

外痔核の分類と症状

肛門付近には痛覚があります。そのため、外痔核には痛みを伴います。

このとき、痛みの感じ方は人それぞれ異なります。また、外痔核の初期には痛みが少ないです。そのため、外痔核を発症している人の中には、外痔核による痛みをかゆみとして感じることがあります。

ただ多くの場合、外痔核には強い痛みを伴います。特に、重いものを持ち上げたりゴルフをしたりなどしてお腹に力がかかると、動けなくなるほどの激しい痛みを生じます。

また、痔核の表面はもろくなっています。そのため、排便時に痔核が便と擦れると、痔核から出血することがあります。

多くの場合、外痔核は内痔核の進行とともに発生します。ただ、外痔核は単独で発生する場合もあります。このような外痔核は、「血栓性外痔核」と呼ばれており、「内痔核に伴う外痔核=内外痔核」とは区別されています。

血栓とは血管を詰まらせる血の塊のことです。このことから血栓性外痔核とは、血の塊で血管が詰まることによって生じる痔核であるといえます。

外痔核は強い痛みを伴うとともに、肛門の外側にできます。そのため外痔核を発症すると、多くの人が「肛門付近にできものができている」と気付きます。

ただ、痔核は水風船のようなぷにぷにとした触感です。ただ、「いぼ」という言葉には「硬いできものを生じる病気」というイメージが強いです。そのため、外痔核を生じていても、それが外痔核であると気づかない人が多いです。

外痔核の原因

痔核は「肛門クッションに流れ込む血液>肛門クッションから出ていく血液」となるとき発症する病気です。そのため、便秘や下痢などによって排便時に強くいきんだりいきむ回数が増えたりすると、外痔核を生じやすくなります。

また、便意がないのにトイレへ行ったりトイレで読書をしたりすると、排便のポーズを長く取ることになります。排便ポーズは肛門に負担をかける姿勢です。そのため、上記のような理由などでトイレに長居すると、外痔核を生じやすくなります。

さらに、肛門付近の血行が悪いと、肛門クッションに流れ込んだ血液が体内へ戻りにくくなります。そのため、運動不足や冷え性などによって血行不良になっていると、外痔核を発症しやすくなります。

このように、外痔核ができる原因の多くは生活習慣に由来しています。また、外痔核を生じやすい生活習慣は、外痔核を悪化させます。そのため、外痔核を発症しているのであれば、生活習慣を改めることが大切だといえます。

外痔核と内痔核の違い

外痔核と内痔核はどちらもいぼ痔の一種です。また、これら2つの痔核は、どちらも生活習慣によって発症しやすくなる病気です。そのため、外痔核・内痔核のどちらであっても、発症や悪化などの予防方法は変わりません。

ただ外痔核と内痔核では、患者が感じる症状が異なります。また、これら2つは治療方法にも差があるため、適切な治療を行うためにも自分がどちらの痔核なのかを自覚することが大切です。

では、内痔核と外痔核はどのように見分けたらいいのでしょうか? これは、主に強い痛みがあるかどうかで判断できます。

強い痛みがあるのは外痔核

前述のように、外痔核には痛みを伴います。

一方で内痔核とは、直腸にある肛門クッションが腫れた状態を指します。この部分は痛覚がない組織です。そのため、内痔核自体には痛みを伴いません。

ただ内痔核が進行して大きくなると、肛門から脱出するようになります。すると、内痔核が痛覚のある組織に触れるようになるため、痛みを感じるようになります。

しかしながら、内痔核自体には痛覚がない一方で、外痔核は痔核そのものに痛覚を伴います。そのため、内痔核を触っても痛みを感じないのに対して、外痔核を触ると痛みを感じます。

また、特別なケースを除き、内痔核よりも外痔核の方が強い痛みを伴います。

実際に、進行した内痔核では傷ができたときのようなじんじんした痛みが生じます。これに対して外痔核を生じたときは、電流が走るような激しい痛みを感じ、立っていたり座ったりすることがつらくなります。

そのため、触ったときに痛かったり強い痛みを感じたりする場合は、外痔核である可能性が非常に高いといえます。

肛門付近にある痛みを伴わないいぼの正体とは?

前述のように内痔核は肛門の内側に発生し、外痔核は肛門の外側に生じる病気です。

ただ、内痔核が進行すると、肛門の外に飛び出します(脱肛)。そのため、このレベルの内痔核になると、外痔核と勘違いをする人が多いです。

ただ、内痔核には痛覚がないため、肛門付近のいぼを軽く触ったときに痛みを生じないのであれば、いぼの正体は肛門から脱出した内痔核であるといえます。

また多くの場合、肛門から飛び出した内痔核を指で押すと肛門の中に戻ります。そのため、肛門付近のいぼが外痔核かどうかを確かめたいのであれば、いぼを肛門内に押し込むことが可能かどうかを試してみるという手法があります。

このとき、肛門が硬くなっている状態で無理やり痔核を押し込もうとすると、肛門が切れたり痔核から出血が起こったりしやすくなります。そのため、痔核を押し込むときは、肛門付近を温めて柔らかくしてから行うようにしましょう。

いぼの正体が外痔核であれば、肛門の中に押し込むことはできません。また、外痔核に触れると強い痛みを感じるため、無理やり押し込むこともできないでしょう。

なお、内痔核が進行しすぎると、指で押しても肛門の中に戻らなくなることがあります。この場合、大きくなった内痔核が肛門を押し広げることによって腸内の粘液が漏れやすくなります。

そのため、下着が汚れたりおしりがかぶれたりなどの症状を伴うようであれば、いぼの正体は大きくなりすぎた内痔核であるということになります。

外痔核の治療法

これまで、外痔核の特徴を述べてきました。そのため、実際に外痔核を生じている人の中には、「自分は外痔核かもしれない」と自覚し始めていることかと思います。

一昔前までは、痔は手術で治すものであるとされていました。これに対して現在では、痔のほとんどが手術なしで治療することができます。

これは外痔核も例外ではありません。基本的に、外痔核は自然に治癒する病気です。

ただ、「自然治癒する=放置すれば治る」ということではありません。外痔核を完治させるためには、外痔核を治すための工夫・処置が必要となります。

生活習慣の改善が基本

外痔核は生活習慣によって発症しやすくなります。また、外痔核を生じやすい生活習慣は、外痔核の悪化も引き起こします。そのため、外痔核を改善するためには、生活習慣を見直すことが大切です。

例えば、便秘や下痢などの排便異常は外痔核の大きな原因の1つです。便は食べ物からできているため、食事の内容は便の状態に大きく関与しています。そのため、排便異常を防ぐためには食生活を正す必要があります。

揚げ物や食肉などの摂り過ぎは腸内環境の悪化を引き起こし、便秘や下痢などが起こりやすい体質を作ります。

一方で、野菜や果物、発酵食品などは腸内環境を改善する働きがあります。そのため、排便異常を予防して外痔核を改善するためには、揚げ物などを控えて野菜などを多く摂るように意識しましょう。

また、過度なストレスは排便異常を引き起こします。そのため、ストレスが溜まってきたと感じたら、しっかり休息を取ったり気分転換をしたりすることが大切です。

運動不足はストレスを溜めやすい体質を作ります。運動量が不足すると、筋肉量が低下して全身の血行も悪くなりやすくなります。そのため外痔核を改善するためには、積極的に体を動かすことが重要です。

特に、仕事によって座りっぱなしや立ちっぱなしなどが多い人は、肛門部分に血液が溜まりやすい状態となっています。そのため、このような仕事に就いている人は、30分~1時間ごとに体を動かすように意識しましょう。

ただ、大きな外痔核を生じている状態でランニングなどの運動をすると、痔核が擦れて出血する危険性があります。すると、下着が汚れるだけではなく、耐え難いほどの強い痛みに襲われることになります。

そのため、外痔核が大きいときには激しい運動を避け、痛みを感じない程度に体を動かしましょう。このとき、外痔核に軟膏などを塗っておくと、薬の作用や摩擦の低下などによって痛みが起こりにくくなります。

また、体が冷えていると血行が悪くなります。そのため、外痔核を改善するためには、積極的に体を温めることが大切です。

特に、下半身を冷やすと外痔核が悪化したり痛んだりしやすくなります。そのため、冷え性を自覚している人はもちろん、体が冷えていないと思っている人も下半身を温めましょう。

このとき、腰やおしりなどにカイロを当てると、下半身の血流が良くなって外痔核の痛みが緩和しやすくなります。また、毎日湯船に浸かることは冷え性改善に大きな効果があることがわかっています。そのため、外痔核を生じているのであれば、毎日の入浴をシャワーで済ませずにしっかりお湯に浸かることをおすすめします。

薬は主に治療を補助する役割

外痔核の治療には、薬を使用することができます。

外痔核に使用できる薬は、大きく分けて市販の医薬品と医師から処方される医療用医薬品の2種類があります。

市販の痔の薬には、患部に塗るタイプやおしりに入れるタイプ、飲むタイプなどのさまざまなものがあります。

これらのうち、おしりの中に入れるタイプの薬は外痔核には適しません。そのため外痔核の場合では、塗るタイプか飲むタイプの薬を使用することになります。

市販の飲む痔の薬では、漢方や生薬などが配合されていることが多いです。主に、便通を改善したり肛門付近の血行を改善したりして痔の改善を促します。

塗るタイプの薬には、通常のチューブに入った軟膏とスポイト状になった容器に軟膏が入っている注入軟膏があります。注入軟膏は指で直接触れなくても患部に塗ることができます。そのため、患部に触れたくないという人は注入軟膏を選ぶと良いでしょう。

薬の成分は、大きく分けるとステロイド配合とステロイド無配合に分けられます。ステロイドが配合されている市販の痔の薬には、ボラギノールA(武田薬品)やプリザエース・プリザS(大正製薬)などがあります。

ステロイドが配合されている薬は、炎症を抑える作用が強いため痛みが引きやすいです。そのため強い痛みを伴う外痔核には、このような薬を使用した方が症状は緩和しやすいです。

一方で、ステロイドを長期間使うと、皮膚がただれるなどの副作用を生じやすくなります。そのため、ステロイド入りの市販薬は最長でも2週間をめどに使用するようにしましょう。

非ステロイドの市販の痔軟膏には、ボラギノールM(武田薬品)やプリザクールジェル(大正製薬)などがあります。ステロイド入りを選びたくない場合は、これら軟膏を選ぶようにしましょう。

また、病院で処方される医薬品にも、通常の軟膏や注入軟膏、ステロイド薬、非ステロイド薬があります。

多くの場合、外痔核で病院にかかると通常の軟膏を処方されます。通常このタイプの軟膏は、指に薬を取って患部に塗ります。このとき、ガーゼに軟膏をのせて薬をガーゼごと患部に押し当てるようにすると、患部に触れずに薬を塗ることができます。

また、病院で治療を受ける際には、医師が患者の症状に合わせて薬を処方します。当然のことながら、ほとんどの医師は薬の効果や副作用などについてしっかり理解しています。

ただまれに、医師の中には副作用を軽視している人もいます。そのため医師から薬を処方された場合には、薬の効果や副作用などについてきちんと確認するようにしましょう。

このとき、医師に直接聞きづらいときは、薬局の薬剤師に確認してみることをおすすめします。そうすることで、病院での治療を納得して受けられるようになります。

最後の手段である手術

外痔核は手術しなくても治せる病気です。しかしながら、外痔核が大きくなって強い痛みを伴い、日常生活が困難になっているようであれば手術による治療を選ぶことができます。

外痔核の手術は、患部に局所麻酔をして切り開き、外痔核の中の血栓を取り除きます。そうすると、術後に外痔核が小さくなっていき、やがてなくなります。

このような切除する手術は、術後に痛みが発生します。そのため、外痔核の痛みが耐えられないほど強いというわけでないのであれば、生活習慣を改めて自然治癒させる方が結果として痛みが少なくて済むといえます。

まとめ

一般的には、痔よりもニキビの方が馴染みのある症状です。そのため、肛門付近にできものを生じても、ニキビの一種だと思い込む人が多いです。

ただ、外痔核をニキビだと思いこんでいると、生活習慣を正すなどの適切な治療が行われないことになります。そうすると、外痔核が悪化したり再発したりしやすくなります。

そのため、肛門付近のできものがぷにぷにしていたり、触ったら痛みを感じたりするのであれば、外痔核の治療を行うようにしましょう。

このとき、外痔核による痛みが強いようであれば、薬を使用して症状を緩和することができます。

ただ、薬を使用しても生活を改めなければ根本的な治療とはなりません。

そのため、外痔核の症状が出ているのであれば、生活習慣を見直すことが大切です。そうすることで、外痔核の痛みから開放されて毎日を楽しく快適に過ごせるようになります。