一般的に、「抗生物質は病気を治す力の強い薬」だと思われています。そのため風邪などで病院にかかったとき、抗生物質の入った薬を求める患者はかなり多いです。

これと同様に痔も、抗生物質を使用した方が早く治ると思われていることが多いです。実際に痔で薬を使用している人の中には、「抗生物質入りの薬を塗った方が早く治る」「痔ができたなら病院で抗生物質をもらって飲むべきだ」と言っている人がいます。

では、抗生物質には痔を治す効果があるのでしょうか? また、痔に市販の抗生物質を使うことはできるのでしょうか?

ここでは抗生物質を使用した痔の治療について解説していきます。

抗生物質の痔への効果とは

わたしたちの身の回りや体の表面、体の中などには、数多くの細菌が存在しています。このような細菌の中には、人体に害を及ぼす病原体となるものがあります。そして病原体となる細菌が体内で異常に増殖すると、感染症を発症します。

抗生物質はこのような「細菌が原因の感染症」に用いられる薬であり、細菌を殺したり細菌の増殖を抑える働きがあります。

本来、このような作用を持つ薬は抗菌薬と呼ばれています。そして抗生物質とは、抗菌薬の中でも微生物が作り出したものを指します。

ただ一般的には、抗菌薬よりも抗生物質という表現の方が浸透しています。そのため医療関係者などが患者に抗菌薬について説明するときは、抗生物質という表現を用いることがほとんどです。これに習い、ここでは「抗生物質=抗菌薬」として解説していきます。

抗生物質に痔を治す直接的な効果はない

抗生物質は細菌を排除する作用があるため、細菌が原因の感染症に高い効果を発揮します。一方で、細菌感染以外の症状には効果がありません。抗生物質には細菌を減らす働きしかないためです。

例えば風邪を治すために抗生物質を服用しても、風邪の症状が緩和しないことが多いです。これは、風邪の原因はウイルスであることがほとんどであるためです。

これと同様に痔も、抗生物質を使用するだけでは治療できません。痔は生活習慣が原因で起こる病気であるためです。

例えば痔には、いぼ痔(痔核)切れ痔(裂肛)あな痔(痔ろう)の3種類があります。これらのうち患者数が多いのは、いぼ痔と切れ痔です。

いぼ痔とは、肛門組織がうっ血して腫れ上がる病気です。便秘や下痢などによって強くいきむことが増えたり、血行不良によってうっ血が起こりやすい状態になったりすることによって発症します。

また切れ痔は、肛門に生じる裂け傷です。硬い便を無理やり排出したり肛門皮膚が下痢便の強い刺激を受けたりすることで発症します。さらに肛門皮膚が血行不良になると皮膚の弾力性が低下して裂けやすくなるため、血行不良も切れ痔の原因となります。

このようにいぼ痔と切れ痔の痔の発症には、細菌が関与していません。したがって、抗生物質でいぼ痔や切れ痔などを治すことは不可能です。

またあな痔は、肛門腺窩などに便が入り込み、便に含まれる細菌がおしり内部で増殖することによって起こる病気です。下の図のように、組織で細菌が増殖すると原発巣と呼ばれる病巣に膿が溜まります。

溜まった膿がうまく排出されないと、おしりの内部を流れ進んでいっておしりの皮膚や腸などから膿が排出されるようになります。このようにしておしり内部に「膿の通り道」ができる病気があな痔です。

このことからあな痔の発症には、便に含まれている細菌が関与していることがわかります。

ただ一度できた膿の通り道(瘻管)は、自然にはなくなりません。そのため、あな痔を治療するためには病院で患部の切除手術を受ける必要があります。つまり、抗生物質を使用してもあな痔は治らないのです。

このようなことから、抗生物質には痔を治す直接的な効果はないといえます。

抗生物質は痔の症状を和らげるのか?

いぼ痔や切れ痔、あな痔などでは、肛門の痛みや出血などが起こります。場合によっては、発熱が起こることもあります。

これらのうち特に痛みは、生活の質を低下させます。そのため痛い痔を発症している人は、とにかく症状を軽くしたいと思っていることでしょう。

このとき前述のように、抗生物質には痔を治す効果がありません。ただ、「痔が治らなくても痔の症状を和らげる効果があるのであれば、抗生物質を使用したい」と思う人は多いようです。

ただ結論からいうと、抗生物質に痔の症状を緩和する効果を求めるのは現実的ではありません。これは抗生物質には、痛みなどを改善する直接的な効果がないためです。

例えばボラギノールなどの痔の塗り薬には、炎症を抑える効果の高いステロイド成分(プレドニゾロン酢酸エステル)や局所麻酔成分(リドカイン)などが配合されています。そのため痔の塗り薬を使用すると、いぼ痔・切れ痔による痛みや出血などの症状が緩和しやすくなります。

また痔の飲み薬である乙字湯にも、炎症を抑える作用のある成分が含まれています。そのため乙字湯を服用し始めると、痛みなどの症状が緩和しやすくなります。

また乙字湯には、便秘や血行不良などの痔の原因となっている症状を改善する効果もあります。そのため乙字湯を飲むと、いぼ痔・切れ痔の症状が軽くなるだけではなく、痔そのものが治りやすくなります。

一方で抗生物質は、体内の細菌を排除する効果しかありません。そのため抗生物質を使用しても、細菌が発症原因ではないいぼ痔や切れ痔などの症状が緩和することはありません。

また細菌が発症に関わっているあな痔では、抗生物質の服用によって痛みや発熱などの症状が緩和することがあります。

ただ、飲み薬(内服薬)の抗生物質は市販されていません。そのため抗生物質の飲み薬を手に入れるためには、病院を受診する必要があります。

そして抗生物質をもらってあな痔の症状を抑えても、あな痔そのものは良くなりません。むしろあな痔を放置することにつながり、その結果あな痔が複雑化したりがんに発展したりします。このことからも、抗生物質で痔の症状を抑えようとしないのが懸命です。

痔の治療に抗生物質が使用されるケース

前述のように抗生物質には、痔そのものを治す作用はありません。そのため専門の病院でも、痔そのものを治療するために抗生物質が使用されることはありません。

ただ中には、痔の治療の一環として抗生物質が使用されるケースもあります。また、あな痔を発症する前段階の状態では、抗生物質が治療に利用されることが多いです。

あな痔の前段階の病気・肛門周囲膿瘍

あな痔は溜まった膿がおしり内部を流れ進み、膿の通り道を作る病気です。このとき、膿の通り道ができる前の状態を肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)といいます。

肛門周囲膿瘍は、おしり内部に細菌感染が起こった状態です。そのため肛門周囲膿瘍の治療には、抗生物質の飲み薬が使用されることがあります。

ただ肛門周囲膿瘍の原因は、便に含まれている細菌です。そのため細菌感染が起こっている部分には、「応援の戦力=便の細菌」が加わりやすい状態となっています。つまり、肛門周囲膿瘍を抗生物質だけで治療することは困難なのです。

このことから肛門周囲膿瘍の治療は、排膿のために患部を切開するのが基本です。そして抗生物質の使用は、あくまで補助的な役割であるとなっています。

化膿が起こった切れ痔

わたしたちの皮膚にはバリア機能が備わっており、細菌などの病原体が入り込みにくい構造になっています。

ただ切れ痔ができると、肛門皮膚に体内への入口ができることになります。体内は皮膚に比べて、細菌などへの抵抗力が低いです。そのため切れ痔の患部に便などの細菌が入り込むと、傷口に細菌感染が起こることがあります。

細菌感染が起こると、組織からは膿が出てきます。このような状態が悪化すると、肛門皮膚に近い部分に膿の通り道ができてあな痔を発症することがあります。そのため切れ痔が化膿したら、あな痔に発展する前に治療する必要があります。

このとき切れ痔は、肛門の皮膚部分にできます。そのため切れ痔の化膿には、塗り薬(外用薬)が使われます。

痔の手術後には抗生物質の服用が指示される

痔の手術では、肛門組織を大きく切り取ります。そのため肛門に大きな傷ができます。

切れ痔と同様に、術後の傷口に便が入り込むと細菌感染が起こりやすくなります。特に術後の傷口は、切れ痔の患部よりも大きいです。そのため術後の傷口は、切れ痔よりも細菌感染が起こるリスクが高いです。

術後の傷口に細菌感染が起こると、傷の治りが悪くなります。また傷口が大きいことによって、重症化するリスクも高いです。場合によっては、患部が壊死することもあります。そのため痔の手術を行った後は細菌感染が起こらないように、医者から抗生物質の服用が指示されます。

痔に市販の抗生物質は使えるのか?

前述のように抗生物質には痔を治す直接的な効果がないものの、症状によっては抗生物質の使用が適切なケースがあります。

このとき中には、忙しくて病院に行けないから市販のもので対処したいと思う人がいるでしょう。

ただ内服の抗生物質は、市販されていません。そのため肛門周囲膿瘍を発症している場合、市販薬では対応できません。したがって肛門周囲膿瘍を発症している場合は、自力でなんとかしようとせずに病院を受診するのが懸命です。

一方で抗生物質が配合されている塗り薬は、ドラッグストアなどで手に入れることができます。そのため切れ痔の化膿は、市販薬で対処することができます。

切れ痔に使える抗生物質入りの薬とは

痔の薬は、さまざまなメーカーから販売されています。それぞれ成分が異なるため、症状などに合わせて選ぶことが可能です。

ただ、抗生物質が含まれている痔の薬はありません。そのためボラギノールやプリザなどの痔の塗り薬では、化膿している切れ痔に対処することができません。したがって切れ痔が化膿している場合は、抗生物質が配合されている皮膚薬を選ぶ必要があります。

このとき病院で痔の化膿の緩和のために処方されるプロクトセディルなどには、抗菌成分であるフラジオマイシンという成分が含まれています。そのため化膿した切れ痔を改善したいのであれば、この成分を含む市販薬を選ぶことをおすすめします。

例えばフラジオマイシンは、ドルマイコーチ軟膏やフルコートfなどに含まれています。これらにはどれも、フラジオマイシンとステロイド成分が配合されています。

特にドルマイコーチ軟膏は、痔の薬であるプリザと同じステロイド成分が含まれています。そのため化膿した切れ痔に使用するのであれば、ドルマイコーチ軟膏をおすすめします。

ただドルマイコーチ軟膏などの皮膚用の薬は、手足などに塗っても吸収されやすい設計となっています。そのため皮膚が薄く粘膜に近い部分である肛門に塗ると、薬が吸収されすぎて作用が強く現れやすいです。

作用が強く現れると、その分だけ副作用のリスクが高くなります。そのため肛門部分に皮膚用の薬を使用する場合は、薬を薄く塗るようにしましょう。そうすることで、薬の効きすぎを防ぎやすくなります。

市販の抗生物質を使用しながら化膿した切れ痔を治す方法

抗生物質が配合された薬を使用しても、生活習慣を正さなければ切れ痔の化膿は治りにくいです。切れ痔に化膿を引き起こす原因菌は、便に含まれているためです。そのため抗生物質でいくら細菌を排除しても、根本的な原因が解決されなければ化膿が治らなかったり再発したりしやすくなります。

例えば排便後の肛門を不潔なままにしておくと、便の細菌が切れ痔の患部に侵入しやすくなります。そのため切れ痔の化膿を治すためには、肛門を清潔に保つ必要があります。具体的にいうと排便後には、ウォシュレットや座浴などによって肛門を温水で洗い流すことが大切です。

また、切れ痔は再発しやすい性質があります。例えば、治りかけの傷は他の皮膚に比べて傷つきやすいです。これと同様に切れ痔がきちんと治らないうちに便秘などが起こると、治りかけの部分が再び裂けます。

このようにして切れ痔の再発を繰り返すと、切れ痔部分が深くなって治りにくくなります。また便が入り込みやすい状態となり、化膿のリスクも高くなります。そのため切れ痔の化膿を予防・改善するためには、切れ痔対策を行う必要もあります。

例えば便秘が起こりやすい体質であれば、便秘薬などを服用して便秘を改善する必要があります。便秘は、切れ痔の最大の原因であるためです。

このとき痔の飲み薬である乙字湯には、便秘改善成分や血行を良くする成分などが含まれています。そのため便秘と痔が併発しているのであれば、便秘薬ではなく乙字湯の服用をおすすめします。

一方で下痢になりやすい体質の人は、下痢止めを持ち歩いて下痢の頻度を減らすことが大切です。下痢も切れ痔の原因となるためです。

そしてどのような体質の人も、肛門周辺の血行不良を改善することが大切です。立ちっぱなしや座りっぱなしなどは下半身の血行不良を引き起こし、痔が起こりやすい状態を作ります。そのため仕事中などでも、こまめに体を動かすように意識しましょう。

まとめ

一般的に抗生物質は、さまざま病気を治せる薬だと思われがちです。ただ実際には、抗生物質は細菌を排除する作用しかありません。そのため、いぼ痔や切れ痔などの「細菌が原因ではない病気」には効果を発揮しません。

またおしり内部の細菌感染によって起こるあな痔は、手術なしでは治りません。つまり、抗生物質に痔を治す効果はないのです。

ただあな痔の前段階の症状や切れ痔が化膿している場合などには、抗生物質が使用されることもあります。そしてこれらのうち切れ痔は、市販薬で対応することができます。

そのため化膿した切れ痔が起こっている場合は、これまでに述べたような切れ痔対策を実践しましょう。そうすることで症状が改善し、あな痔への進行を食い止めることができます。


痔であると、トイレの中を血まみれにするだけでなく、座ったときに異常な痛みが起こる人も多いです。トイレのとき、その痛みから私もトイレに行くのが毎日怖いときがありました。

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痔の悩みは周りに相談しにくいです。だからこそ、医薬品を活用して本気で症状を治し、元気な日常生活を取り戻そうとする人は多いです。

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